「仕事中にケガをしてしまったけど、病院はどうすればいいんだろう?」
労災に遭われた方は、このような不安を抱えているかもしれません。
労災保険は、仕事中に負った怪我や病気に対して、治療費や休業補償などの給付を受けられる制度です。
しかし、労災保険をスムーズに利用するためには、病院での適切な手続きが重要となります。
この記事では、労災が発生した場合に病院で行う手続きについて詳しく解説します。病院での手続きを円滑に行い、労災保険を正しく利用する方法を理解しましょう。
安心して治療に専念できるよう、ぜひ最後まで読んでみてください。
1. 【基本】病院のタイプで分かれる「2つの労災手続きフロー」
労災事故で受診する場合、受診する病院が「労災指定医療機関」か「指定外の医療機関」かによって、窓口での支払い有無や手続きの手間が大きく異なります。
※労災指定病院かどうかは、こちらから検索できます。
まずは以下の比較表で、どちらの病院を受診すべきか(または受診した病院でどう対応すべきか)を確認しましょう。
| チェック項目 | ① 労災指定医療機関を受診 (手持ち現金なしで受診OK) | ② 指定外(一般)の医療機関を受診(一時的に全額自己負担) |
| 窓口での支払い | 不要(0円) | 一時的に全額自己負担(10割分) |
| 手元の現金 | 不要 | 必要(数万円単位になることも) |
| 病院へ出す書類 | 様式第5号(業務災害) ※通勤災害は「様式第16号の3」 様式5号の書き方はこちらから | なし(窓口で全額払うのみ) |
| 労基署へ出す書類 | なし(病院が代わりに処理) | 様式第7号(業務災害)+ 領収書原本 ※通勤災害は「様式第16号の5」 様式7号の書き方はこちらから |
| お金が戻る時期 | その場(最初から支払いなし) | 請求から約1〜3ヶ月後 |
| 手続きの手間 | とても簡単 | 自分で書類提出・振込待ちが必要 |
💡 迷ったらどうする?
特別な事情(救急搬送された、近所に指定病院が一切ない等)がない限り、手持ちの現金負担がなく手続きも最もシンプルな**「① 労災指定医療機関」**を受診することをおすすめします。
2. 労災の病院手続きに関する「よくある質問・トピック」
2つの基本フローを踏まえたうえで、現場でよく発生するトラブルや疑問について解説します。
Q1 「健康保険証」を使用して3割負担で支払ってしまいました。どうすればいいですか?
A. 放置せず、受診した病院または加入している健康保険組合(協会けんぽ等)へすぐに連絡して切り替え手続きを行ってください。
労災事故で健康保険を使用することは法律上禁止されています。
- 受診した「同月内」の場合: 病院の窓口に「労災だった」と伝えれば、健康保険から労災手続きへ切り替えてもらえるケースが多いです。支払った3割分が返金され、代わりに労災の書類(様式第5号など)を提出します。
- 月をまたいでしまった場合: 病院で対応できないため、加入している健康保険の運営元(協会けんぽや組合健保など)へ連絡し、保険者が負担した7割分を一旦自分で支払って返還します。その後、10割分の領収書を添えて労基署へ「様式第7号」で請求し直し、全額の返金を受けます。
Q2 労災保険の給付だけで、すべての損害が補償されますか?
A. いいえ。労災保険からは「精神的苦痛に対する慰謝料」が一切支給されません。
労災保険は治療費や休業時の一部の補償(特別支給金を含めて約80%)をカバーしてくれますが、事故によって受けた心の傷や苦痛に対する「慰謝料」は支給対象外です。
- 労災保険から出るもの: 治療費(実費)、休業給付、後遺障害一時金・年金など
- 労災保険から出ないもの: 傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、休業損害の残り分
Q3 会社に対して「慰謝料」や「休業損害の不足分」を請求することはできますか?
A. 会社に「安全配慮義務違反」や過失がある場合は、会社に対して民事上の損害賠償を請求できます。
事故の原因が「危険な設備の放置」「過重労働」「安全教育の不足」「同僚の作業ミス」などにある場合、会社は責任を負わなければなりません。
労災保険から支給されなかった「慰謝料」や「休業損害の不足分」について、会社側に直接請求を行うことが可能です。労災の手続きと並行して、会社への請求も検討することをおすすめします。
Q4 病院の手続きや会社への請求で、弁護士に相談するメリットは何ですか?
A. 正確な後遺障害等級の認定サポートや、会社との対等な示談交渉を行える点です。
怪我の治療が長引いたり、後遺症が残ってしまったりした場合、労災申請だけでなく会社との補償交渉が必要になります。
- 会社との示談交渉の代理:弁護士が適正な慰謝料額を算出し、会社や保険会社と対等に交渉するため、精神的負担が激減します。
- 後遺障害等級の認定サポート:認定される等級によって補償額が数百万円単位で変わります。適切な等級を獲得するための専門的なサポートが受けられます。
まとめ
労災事故に遭った際は、まず「労災指定医療機関」を受診して「様式第5号」を提出するのが最もスムーズです。
もし指定外の病院に行ったり、誤って健康保険を使ってしまったりした場合でも、正しい手順を踏めば費用は戻ってきます。また、重い怪我や後遺症が残る場合は労災保険だけでなく「会社への損害賠償請求」も重要な選択肢となりますので、お困りの際はぜひ弁護士へご相談ください。
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