労災事例13

労災事例(13)
建設会社に勤め、マンション建築現場前の路上で誘導係をしていた加藤さん。
マンション建設現場2階で、資材の搬送作業を行っていた作業員が誤って資材を落としたため、資材が下で歩行者や車両の誘導していた加藤さんの頭部に直撃し、死亡してしまいました。
※労災を説明するための架空事例です。会社名や名前は仮名となります。

1 労災の流れ

ご本人の無念はもちろん、ご遺族の方も悲痛な思いをされたと思います。
今回の事例では、加藤さんは、業務中に落ちてきた資材が頭部に直撃したことで死亡してしまったため、労働災害に該当します。
労働災害が認定されれば、ご遺族は労災保険から遺族補償給付及び葬祭料の給付を受けられます。

2 労災給付

(1)遺族補償給付

労災保険から支払われる遺族補償給付には、大別して、
遺族(補償)年金・遺族特別年金
遺族特別支給金
遺族(補償)一時金・遺族特別一時金
があります。

① 遺族(補償)年金・遺族特別年金

遺族(補償)年金・遺族特別年金とは、被災労働者が亡くなった場合に、被災労働者に生計を維持されていた配偶者等に支払われる給付です。
「生計を維持されていた」とは、もっぱら又は主に被災労働者に生計維持を頼っていた場合のみならず、生計の一部を維持されていたような共働き・共稼ぎの場合も含みます。
また、被災労働者と遺族が別居していたとしても、経済的に扶養されていたなどの生計維持関係が認められれば、この要件を満たします。
受給権者は、配偶者(内縁の配偶者も含まれます)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のうち、決められた優先順位が一番高い者ですが、妻以外の遺族については、年齢による制限や障害の有無による制限があります。

遺族(補償)年金・遺族特別年金の給付額については以下の通りとなります。

遺族数 遺族(補償)年金 遺族特別年金
1人 給付基礎日額の153日分(但し、その遺族が55歳以上の妻又は一定の障害状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分) 算定基礎日額の153日分(但し、その遺族が55歳以上の妻又は一定の障害状態にある妻の場合は算定基礎日額の175日分)
2人 給付基礎日額の201日分 算定基礎日額の201日分
3人 給付基礎日額の223日分 算定基礎日額の223日分
4人以上 給付基礎日額の245日分 算定基礎日額の245日分

※遺族数…受給権者および受給権者と生計を同じくしている受給資格者の数
※給付基礎日額…賃金(ボーナス等を除く)をもとに計算します。
※算定基礎日額…ボーナスをもとに計算します。

② 遺族特別支給金

遺族数に関わらず一律300万円の一時金が支給されます。
受給権者は、上記①の場合と同じです。

③ 遺族(補償)一時金・遺族特別一時金

遺族の中に遺族(補償)年金の受給権者がいない場合には、その他の遺族に対して遺族(補償)一時金・遺族特別一時金が給付されます。
給付額は、遺族(補償)一時金については給付基礎日額の1000日分、遺族特別一時金については算定基礎日額の1000日分となります。
また、この場合にも、②の遺族特別支給金(300万円)が支給されます。

(2)葬祭料

葬祭料の受給権者は遺族等に限りませんが、原則は葬祭を執り行う遺族になります。
給付額は、「給付基礎日額の60日分」又は「給付基礎日額30日分+31万5000円」のいずれか高い方となります(実際にかかった葬儀費用が全額支給されるわけではありません。)。
なお、この葬祭料は、現実に葬儀を執り行った後に初めて請求できるものであり、未だ葬儀を執り行っていない段階では受給することができません。

4 加害者に対する損害賠償請求との調整

被災労働者の遺族は、労災給付の他に、事故の加害者(不法行為)や会社(安全配慮義務違反、使用者責任)からも損害賠償金を受け取ることが考えられます。もっとも、二重取りはできません。
加害者や会社から損害賠償金を受け取った場合には、労災給付と損害賠償請求とを調整することになります。
すなわち、労災給付を受けたときは、政府が加害者等に対して、遺族等に支払った労災給付の額を請求し(求償)、遺族等が先に加害者等から損害賠償金を受け取ったときは、政府は、支給する労災給付からその金額を差し引きます(控除)。
なお、慰謝料、物損など労災保険給付の対象外とされているもの、遺族特別年金・遺族特別支給金などは、上記調整の対象となりません。

5 おわりに

労災で家族を失ったご遺族の方は、精神的なショックの中で、今後どうすればよいのかわからず途方に暮れてしまうと思います。
労災の事件処理は複雑な面がありますので、労災に関する手続や経済面での不安については、弁護士にご依頼いただくことも選択肢の一つです。
私たちグリーンリーフ法律事務所の弁護士は、少しでもご遺族の負担を軽減することや妥当な賠償を受けることに繋がるよう尽力いたします。
お悩みの方は、まずは弊所までお気軽にお問合せください。

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