大阪市内の化学メーカーである永大化工株式会社に勤務しており、3年前当時、同社の扱った自動車用フロアマットの不具合に対するクレーム処理を担当していた男性従業員が過労死を認定(残業80時間超)されていた労災事故について、ご遺族が会社に対して約1億円の損害賠償請求訴訟を提起されました。
出典:Yahoo!ニュース
とても悲しいニュースです。
労災事故の法的解決に向けた場合、
①労働基準監督署による労働災害の認定、
②会社(又は加害者)に対する損害賠償請求、
という二段構えで考える必要があります。
本件ニュースによれば、①労災の認定がありますので、②が争いとなっていたものと推察できます。
通常、まずは示談交渉(裁判手続外)により解決を目指すことになります。本件でも、ご遺族側と会社側との双方に弁護士が選任されて、話し合いを進めていた可能性があります。
訴訟を提起せざるを得ないのは、
・争点があり、話し合いでは溝が埋まらず、裁判官に判断してもらう必要がある場合、
・時効中断させるために、必要がある場合(ただし、民法改正により、平たく言えば、不法行為構成、債務不履行構成に関わらず、権利を行使できることを知った時から5年※新民法166条、724条の2)、
が考えられます。
本件でも、このような理由から訴訟に踏み切らざるを得ない事情があった可能性があります。
会社側からよく耳にする反論は、
・安全配慮義務違反がない、と争ってくるパターン
この場合、裁判になれば、事実の主張立証責任が原告(訴える)側にあるため、情報収集が不可欠になりますが、労基署や会社側から資料開示を受け、家族や同僚等の話を聞き込む等、丁寧に対応してくことが重要です。
・損害額について争ってくるパターン
※この場合、理屈っぽい話が主です。損害項目を考える上では、交通事故分野の研究が進んでおりますので、弁護士によくご相談下さい。
・過失相殺や損益相殺を主張してくるパターン
※この場合、事実関係(事故)に争いがある場合やお客様側の過失(持病等)を主張してくる場合があるでしょう。ただし、過失割合は個別的判断ですから一概には会社の主張が正しいとは限りませんし、過労死事件の最高裁判例で心因的要因による過失相殺を全否定した事案がありますので、安易な妥協は避けるべきで、味方の弁護士とよく相談する必要があります。
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
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