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特殊パッキングを製作するための機械を操作中、盤が落下して、右手挫滅を負った労災事故で、労働者の過失50%が認められた裁判例
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subhuman2525
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2023-09-06
弁護士さんへお世話になるのは初めてでしたが、長い期間親身に相談に乗ったり励まして頂き、問題を解決する事ができました。 池田様、野口様、本当にありがとうございました。
B'z超ファン水樹奈々超ファン
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2023-06-27
永き日々大変お世話になりました。親身になって解決して頂きました。体調悪い自分のために生きるため新しいスタートできます。先生スタッフ様ありがとう🌈🌈🌈🌈🌈🌈
小鷹直子
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2023-06-22
〜交通事故〜 口コミで貴社に依頼。 こちらの都合に合わせて休日対応してくださり、適切に対応くださいました。 色々教えていただき大変勉強になりました。 あまりご縁がない方が良いのですが、いざと言うときはまたお世話になりたいです。 ありがとうございました(*´꒳`*)
maru
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2023-06-21
とても親身に話を聞いて下さり感謝しかありません。 弁護士費用も無理のないようにしていただき助かりました。 本当にありがとうございました。
鈴木範之
鈴木範之
2023-05-17
所長様はじめ電話対応をしてくださる方までみなさまとても親切です。顧問契約の内容も明示されていてとても良心的です。
小山道郎
小山道郎
2023-05-07
早く解決でき、助かりました。
そうめいしょう
そうめいしょう
2023-04-19
最初の顔合わせから最後の挨拶まで 約半年以上本当に困っていた時に 助けてくれた平栗先生には本当に感謝してもしきれないくらいお世話になりました。 弁護士と言う仕事柄少し上からくると思っていたら、最初からフランクに接してもらい何もわからない事を 丁寧に何時の時間でも教えていただいたりすごく助かりました。 時間がかかってしまい、平栗先生には 迷惑をかけてしまいましたが 無事解決まで持っていってくれて ありがとうございました! また、機会があれば是非別件になると 思いますがお願いしたいと思います。 自分みたいに困っている人がいるなら 絶対に平栗先生が良いと自信をもって 言えるので!

基礎知識

事務所について

事務所概要・アクセス

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所 〒330-0854
埼玉県さいたま市大宮区桜木町一丁目11番地20 大宮JPビルディング14階
0120-25-4631 受付時間 平日9:00〜20:00/土曜日10:00〜17:00
労働者の過失を40%と認定した、「特殊パッキングを製作するための機械を操作中、盤が落下して、右手挫滅(第Ⅱないし第V指基節骨々折、第Ⅱ、第Ⅳ、第Ⅴ指中節骨々折、第Ⅱ、第Ⅴ末節指骨々折、第Ⅲ第Ⅳ指末節部切断)の傷害を負った」事例をご紹介します。 【事件番号】 東京地方裁判所判決/昭和61年(ワ)第1686号 【判決日付】 昭和62年10月29日        主   文  被告は、原告に対し、一一〇〇万円及ぴうち一〇〇〇万円に対する昭和六一年二月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払をせよ。  原告のその余の請求を棄却する。  訴訟費用は、これを三分し、その二を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。        事   実 第一 当事者の求めた裁判  一 請求の趣旨  1 被告は、原告に対し、三三五四万○四二六円及びうち三〇五四万○四二六円に対する昭和六一年二月二二日から支払済みまで年五分の割合による金員の支払をせよ。  2 訴訟費用は被告の負担とする。  3 仮執行の宣言  二 請求の趣旨に対する答弁  1 原告の請求を棄却する。  2 訴訟費用は原告の負担とする。 第二 当事者の主張  一 請求の原告  1(一) 原告は工業用各種パッキングの製造・販売を目的とする有限会社山陽パッキング製作所(以下、訴外会社という。)の代表取締役であるが、訴外会社は、原告の個人事業を税務対策上原告とその妻が取締役に就任して会社組織にしたものに過ぎず、原告がその自宅の一隅にピンクラッチ式(通称、ポンス式)プレス工作機械一台(以下、本件機械という。)を据え置いて、プレス作業に従事するとともに営業に走り廻り、その妻が電話番、帳面付けを手伝うといった典型的な家内企業であって、会社としての実体を備えていないものである。   (二) 被告は、大手のプレス機械の製造・販売会社である。  2 訴外会社は、昭和六〇年二月ころ、被告から、本件機械を購入した。  3(一) 原告は、同年五月一七日午前一〇時ころ、特殊パッキングを製作するために本件機械を操作中、製品を取り出すべく両手を金型を組み込んだ盤(以下、上盤という。)と材料を置く盤(以下、下盤という。)の間に差し入れたところ、上盤が突然落下して原告の手を押し潰し(以下、これを本件事故という。)、よって、原告は、右手挫滅(第Ⅱないし第V指基節骨々折、第Ⅱ、第Ⅳ、第Ⅴ指中節骨々折、第Ⅱ、第Ⅴ末節指骨々折、第Ⅲ第Ⅳ指末節部切断)の傷害を負った。   (二)(1) 本件機械は、作業従事者が足スイッチを踏むと電磁石に電気が通り、歯車の軸のミゾにくい込んでその回転を押さえているストッパーの先端が、その支柱の反対側が磁石で引張られることにより、逆にはね上って軸のミゾから離れ、軸が一回転する間に上盤が一回上下運動して下盤に置かれた材料を切断した後、ストッパーの反対側を支えているスプリングの収縮力によってストツパーの反対側が上に引き戻され、逆に上に上っていたストッパーの先端が再び歯車の軸のミゾに落ち込んで軸の回転を止める構造になっている。したがって、作業員が足スイッチを踏まなければ上盤が落下することはないはずのものである。   (2)本件事故は、本件機械のスプリングを上から吊るしているフックが使用中の振動によって大きく揺れ動くようになり、スプリングが正常な位置からずれ動いてストッパーが歯車の軸のミゾからはずれてしまい、スプリングの収縮力によって元に戻るはずのストッパーがその効果を現わさず歯車の軸の回転が止らなくなったため、上盤の上下運動が止らなくなって発生したものである。   (3) 本件事故は、被告が訴外会社に本件機械を納入した後約二か月、本件機械の使用回数にしても訴外会社が本件機械を使用して一回で二〇個できる製品を約四万個製作しただけで、その上下運動の回数にすれば僅か二〇〇〇回、一日八時間連続的に作業したとすればせいぜい一~二日分に過ぎない段階で発生したものであり、しかも、本件事故は、本件機械めスプリングを吊っているフックをナットで締め、さらにスプリングとストツパーの接続部分にスッシャーを取り付けてナットで締める等によってその発生を容易に防止することができたのであるから、被告は、人身事故発生の危険性のある本件機械の製造・販売を業とする者として、右防止措置を施す等の注意義務を怠った過失があるといわなければならない。  4 原告の前記傷害を金銭に評価すると、次のとおり三三五四万○四二六円になる。  (1) 治療費      三三万二六六〇円  原告は、前記傷害の治療(手術を含む。)のため、狭山中央病院に昭和六〇年五月一七日から同年七月一二日まで入通院(入院日数二一日、通院実日数二七日)し、同病院に対して自己負担の治療費として一一万二〇一〇円を支払い、東京慈恵会医科大学附属病院に同年六月一九日から現在に至るまで入通院(入院日数一七日、通院実日数二二日)し、同病院に対して昭和六一年一月一一日までの自己負担の治療費として二二万○六五〇円を支払った。  (2) 入通院雑費、交通費 八万七〇〇〇円  前記入院中の雑費は一日当たり一〇〇〇円であり、通院の往復交通費、雑費は一回当たり一〇〇〇円である。  (3) 休業補償    二五九万三六〇〇円訴外会社の実体は前記のとおり原告の個人企業であり、したがって、原告の所得は訴外会社の売上げから必要経費を差し引いた額であるが、そのうち原告の肉体的労働の対価の占める額がどの程度であるかの算出は困難であるので、男子の全年齢平均給与月額三二万四二〇〇円をもって訴外会社における原告の肉体的労働の対価とすると、原告は、本件事故発生の昭和六〇年五月一七日から後遺障害が固定した昭和六一年一月一一日までの約八か月間、訴外会社における肉体的労働を必要とする業務に全く従事することができなかったから、右三二万四二〇〇円の八か月分が被告の補償すべき原告の休業による損害になる。  (4) 入通院による慰謝料   一一九万円  (5) 後遺障害による慰謝料  六六〇万円  原告は、昭和六一年一月一一日、東京慈恵会医科大学附属病院において、前記右手機能障害が固定し、回復の見込みがほとんどないと判定されたが、その程度は、自動車損害賠償保障法施行令二条別表の等級第八級に相当するものである。  (6) 逸失利益   一九七三万七一六六円  原告は、昭和一一年五月八日生れで前記後遺障害固定時四九歳八か月であったので、その就労可能年数は一七年であり、前記等級の労働能力の喪失率は一〇〇分の四五であるから、前記のとおり男子の全年齢平均給与額を基準にしてライプニッツ式により中間利息を控除すると、原告の右後遺障害による逸失利益は、一九七三万七一六六円になる。  324,200×12×45/100×11.2740=19,737,166  (7) 弁護士費用       三〇〇万円  原告は、本訴の提起、追行を原告訴訟代理人に委任し、その報酬として前記請求金額の一割相当額を支払うことを約した。  よって、原告は、被告に対し、不完全履行による損害賠償として若しくは訴外会社の被告に対する不完全履行による損害賠償請求権を代位して又は不法行為による損害賠償として、三三五四万〇四二六円及びうち前記弁護士費用を除く三〇五四万〇四二六円に対する本件訴状送達の日の翌日又は本件不法行為発生の日の後である昭和六一年二月二二日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。  二 請求の原因に対する認否  1(一) 請求の原因1(一)のうち、原告が工業用各種パッキングの製造・販売を目的とする訴外会社の代表取締役であることは認めるが、その余の事実は否認する。   (二) 同1(二)のうち、大手であることは争う。  2 請求の原因2の事実は認める。  3(一) 請求の原告3(一)の事実は不知   (二)(1) 同3(二)(1)の事実は否認する。   (2) 同3(二)(2)の事実は否認する。本件事故は、原告が本件機械の上盤と下盤の間に手を入れた衝撃によりスプリングがはずれて発生したものである。   (3) 同3(二)(3)の事実は否認し、被告に本件事故の発生について過失があるとの主張は争う。後記のとおり、本件事故は原告の自招行為によるものであり、被告には本件事故の発生について過失がない。  4 請求の原因4の事実は不知、主張にわたる部分は争う。原告は青色申告をしているから、原告の収入は右申告のそれによるべきである。また、原告の後遺障害の程度は、環指末節部を切断し、巧緻運動不能、把持機能に著しい障害があるものの右手は存在しているから、せいぜい自賠法施行令二条別表の等級第一二級以下である。さらに、後遺障害による逸失利益は、抽象的な運動能力の喪失ではなく、現実の収入減でなければならないところ、原告の収入は下請発注による利益が大部分であるから、本件事故による現実的な減収は生じない。 三 抗弁  1 原告の責めに帰すべき事由の不存在  不完全履行による損害賠償の請求に対し  被告には、以下に述べるように、本件事故の発生について本件機械の売主としての責めに帰すべき事由がない。   (一)(1) 訴外会社の代表取締役である原告は、昭和五九年一二月末ころ、被告を訪れ、被告の従業員である保田昭彦(以下、保田という。)に対し、持参した抜き材料と出来上り製品を示して右材料を右製品にする機械について相談した。保田は、原告に対し、被告の販売しているプレス機械にはピンクラッチ式と上盤が固定され下盤が上下するダルマ式の二種類があるが、ダルマ式が原告の希望する金型(ビク型)専用であり、精度が高く、仕事の能率がよい上、安全性にすぐれている(ダルマ式では上下盤のストロークが二五~三〇ミルメートルであるのに対して、ピンクラッチ式ではそれが七〇~八〇ミルメートルである。)として、ダルマ式を勧めた。しかし、ダルマ式は価格が一三〇万円であるのに対して、ピンクラッチ式はそれが八〇万円であったので、原告は、訴外会社の予算の都合からピンクラッチ式の本件機械を購入する決定をした   (2) 本件機械は、被告が製造したものではなく、被告が第三者から買い受けた中古品に原告の希望する装置を付加して訴外会社に対して転売したものである。   (二)(1) 保田は、原告に対し、左右両手で押すスイッチにした方が足踏みスイッチより安全で確実であるとして、本件機械に両手で押すスイッチを取り付けることを勧めたが、原告は、価格の点と作業能率の点から保田の右勧めを断わった。   (2) そこで、被告は、本件機械の抜き材料及び上盤に付ける金型から判断して原告にとって必要最小限度の低廉でかつ絶対に確実な安全装置として引出装置を本件機械に設置し、訴外会社に販売した。   (3) 被告は、訴外介社に本件機械を納入する前に、原告に材料を持って来てもらい、本件機械の操作、金型の取付け、引出しの使い方等、とりわけ作業手順-引出板を手前に引いてその上に材料を置く、次いで引出板を上下盤の間に押し込む、それからクラッチペダルを踏んで材料をプレスし抜き打ちをする、その後で引出板を手前に引いて製品を取り出す-を説明し、念のため右手順以外では作業をしてはならないことを付言した。   (4) 被告は、その際、原告立合の上で本件機械を点検し、原告自ら被告の説明に従って本件機械の試運転をした。   (三)(1) 訴外会社は、本件機械購入後、上盤に付いていた金型を変更したが、被告が取り付けた金型であれば製品の取出しのために本件機械の上盤と下盤の間に手を入れる必要はなかった。   (2) 原告は、前記安全装置である引出板を取りはずして本件機械を使用した。   (四) 原告は、パッキング業界において二〇年余り経験を有するべテラン中のべテランであり、プレス機械の危険性は十分に熟知していた。  以上のとおりであるから、本件事故は、原告が本件機械の上下盤の間に手を入れたいわば自招行為により発生したものであるというべきであって、本件機械の故障と原告の負傷の間には因果関係がなく、また、被告には本件事故の発生について予見可能、性がない。  2 過失相殺  仮に本件事故の発生について被告に責任があるとしても、原告は、事故発生の危険を知りながら、前記引出装置を全く使用せず、かつ、上盤の金型を変えた上、本件機械の上盤と下盤の間に手を入れた重大の過失があるから、賠償額の算定に当たっては大幅な過失相殺がなされるべきである。  四 抗弁に対する認否  1 抗弁1に対し   (一)(1) 抗弁1(一)(1)のうち、訴外会社の代表取締役である原告が被告を訪れ、被告の従業員である保田に対し、持参した抜き材料と出来上り製品を示して右材料を右製品にする機械について相談したことは認めるが、その余の事実は否認する。   (2) 同1(一)(2)の事実は認める。   (二)(1) 同(二)(1)の事実は否認する。   (2) 同(二)(2)のうち、被告が本件機械に引出装置を取り付けたことは認めるが、原告が右引出装置は能率的にいってどうかと思うので取り外してくれないかと一言いったところ、被告は何もいわずに右引出装置を取り外したのである。   (3) 同(二)(3)の事実は否認する。   (4) 同(二)(4)の事実は否認する。原告は、被告から試し抜き用の材料が不足したので追加してくれといわれ、被告に右材料を持参した際、保田が本件機械を使って試し抜きをしたのを見ただけで、本件機械の点検に立会ったことはもちろん、点検に立会うことを求められたことすらなく、いわんや原告自ら本件機械を試運転をしたことなどはない。   (三) (1)同(三)(1)の事実は否認する。   (2) 同(三)(2)の事実は否認する。前記のとおり、被告が取り外したのである。   (四) 同(四)の事実は否認する。原告のパッキング業界における経験は営業のみで、製造にタツチしたのは被告から手動式のダルマプレスを購入したのが始めてであり、動力式の機械を動かしたのは本件機械が始めてである。もちろんプレスで指を落す事故は見聞して知っているが、スイッチを押さないのに機械がひとりでに動き出すなど聞いたこともない。  2 抗弁2は争う。原告は、原告に過失がないといっているのではない。危険なプレス作業に従事するものとして(原告は全くの初心者ではあったが)細心の注意に欠ける過失があったことを否定するものではない。しかし、被告が原告の過失だとして挙げる、(1)上盤の金型を変えたことはないし、(2)引出装置は取り外されたのであるから、原告の不注意は過大評価されるべきではない。 第三 証拠関係《略》        理   由  一 原告が工業用パッキングの製造・販売を引的とする訴外会社の代表取締役であることは当事者間に争いがなく、被告がプレス機械の製造・販売会社であることは、被告において明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。  二 請求の原因2の事実については、当事者間に争いがない。  三1 請求の原因3(一)の事実は、《証拠略》によってこれを認めることができる。  2 請求の原因3(一)(1)及び(2)の各事実は、《証拠略》によって、これを認めることができる。《証拠判断略》  3 被告がプレス機械の製造・販売会社であること、被告が昭和六〇年二月ころ訴外会社に対して本件機械を販売したこと、本件事故が本件機械のスプリングを上から突っているフックが使用中の振動によって大きく揺れ動いてスプリングが正常な位置からずれ動きストッパーが歯車の軸のミゾから外れたために起きたことは前記のとおりである。そして、《証拠略》によれば、本件機械のようなプレス機械には手指を切断する等の人身事故発生の危険性があること、原告は、昭和五九年一〇月ころ、被告方に長さ約一メートル、幅数十センチメートル、厚さ一~二センチメートル程度のやや硬質の合成樹脂板とそれを打ち抜いた数センチ角の製品を持参し、被告の従業員保田に対し、右合成樹脂板を打ち抜いて右製品にするプレス機械の購入を申し込んだこと、保田は、被告の倉庫に長らく保管してあった製造元も不明な他社製造の中古品を化粧直しをし改造して原告の注文に応ずることとし、昭和六〇年一月ころ、原告に対し、電話で、原告がいったような機械が見付かったのでそれを原告の注文どおりに改造することを連絡したこと、保田は、右機械の化粧直しをし、上盤に金型を付け、ローラーの付いた引出装置を作った上、同年二月一〇日ころ、原告に対し、電話で、試し抜き用の材料を送ることを求めたこと、原告は、直ちに被告に対し右材料を送ったところ、保田が同月二〇日ころ原告に対して右材料の追加を求めてきたので、その直後ころ、右追加の材料を持って被告方に出向いたこと、そこで、保田は、原告に対し、右機械を操作して右追加の材料を打ち抜いてみせたこと、原告は、右機械を見て、操作側の下盤が上盤の奥の方にしかなく、右引出装置も長さが数十センチメートルほどであったので、長さ約一メートルの材料を右引出装置及び下盤の乗せると垂れ下ってしまうおそれがあって作業がしずらいため、保田に対し、その点を何とかしてほしい旨要望したこと、保田は、原告の右要望に応ずべく操作側の下盤として長さ数十センチメートルの鉄板を台座から出ている二本の鉄棒に数個のビスで止めて右機械を本件機械に改造する作業を終了し、同月二七日ころ、訴外会社に対し、被告の他の従業員とともに本件機械を搬入して据え付けたこと、被告は、その際、訴外会社に対し、ローラーを外した前記引出装置も納入したこと、しかし、右引出装置は、右ビスを取り外して右鉄棒から右鉄板を取り除かなければ使用することができず、しかも、前記ローラーを外してしまったため抜き差しが滑かにできなくなって、実際のプレス作業には役に立つものではないこと、保田及び被告の従業員は、前記試し抜きを含む右搬入の前後を通じ、原告に対し、本件機械の操作上の注意についてはもちろんのこと、操作及び保守点検の仕方について全くといっていいほど説明をしていないこと、原告は、右搬入後本件事故発生までの間に、剥き出しの歯車にカバーを掛けただけで、金型の取替えを含めて本件機械には何らの手を加えていないこと、本件事故は、被告が訴外会社に対して本件機械を納入してから僅か七九日目に発生したこと、被告は、本件機械のスプリングを吊っているフックをナットで締めることによって右フックが使用中の振動によって大きく揺れ動くことを容易に防ぐことができ、また、フックが揺れ動いても、スプリングと矢の軸との接続部分にワッシャーを取り付けてナットで締めることによってスプリングが正常の位置からずれ動いてストッパーが歯車の軸のミゾから外れることを容易に防ぐことができることを認めることができ(る。) 《証拠判断略》  右の事実によれば、被告は、人身事故発生の危険性のある本件機械が製造元すら分からない中古品であって、その性能、強度、特徴等を十分に掌握することができなかったのであるから、本件機械を販売するに当たっては、本件機械の改造及び販売業者として、人身事故発生の危険がある個所を慎重に点検し、その可能性のある部品を取り替えたり、補強をするなどの整備をすべき注意義務があるのに、漫然と本件機械に若干の手直しをしただけで訴外会社に納入し、訴外会社の従業員をして本件機械を操作せしめた過失があるというべきである。  そうとすれば、被告は、原告に対し、本件機械の改造・販売業者として、自ら民法七〇九条の責任を負わなければならない道理である。  四 原告が本件事故によって右手挫滅の傷害を負ったことは前記のとおりであり、これを金銭に評価すると次のとおりである。  1 治療費     三二万一五八〇円  《証拠略》によれば、原告は、右傷害の治療のため、狭山中央病院及び東京慈恵会医科大学附属病院に入通院し、両病院に対し、自己負担の治療費として、三二万一五八〇円を支払ったことを認めることができる。  2 入院雑費及び通院交通費六万八〇〇〇円  《証拠略》によれば、原告は、前記治療のため、狭山中央病院に昭和六〇年五月一七日から同年六月六日まで入院し、東京都港区西新橋三丁目一九番一八号所在の東京慈恵会医科大学附属病院に同月一九日から同年七月一〇日までと同月三一日から昭和六一年四月一五日まで通院(通院実日数三〇日)し、その間、昭和六〇年七月一三日から同月二九日まで入院し、右各入院中は雑費を要したこと、原告は、東京慈恵会医科大学附属病院への交通費として一回一〇〇〇円以上を支出したことを認めることができるところ、右入院中の雑費は一日一〇〇〇円とするのが相当である。なお、原告は、狭山中央病院への通院交通費として一回当たり一〇〇〇円を支払した旨主張し、《証拠略》によれば、原告は、埼玉県狭山市富士見二丁目一九番三五号所在の狭山中央病院に同年六月七日から同年七月一二日まで通院(通院実日数数日)したことを認めることができるが、右通院交通費の一回当たり一〇〇〇円を支出したことを認めるに足りる証拠はない。  3 休業補償       一八五万円  原告が本件事故によって右手挫滅の傷害を負ったこと、原告が工業用各種パッキングの製造・販売を目的とする訴外会社の代表取締役であるところ、本件事故後狭山中央病院及び東京慈恵会医科大学附属病院に入通院し、同附属病院を退院したのが昭和六〇年七月二九日であることは前記のとおりであり、原告の右傷害の後遺症状が固定したのが昭和六一年一月一一日であることは後記のとおりである。そして、《証拠略》によれば、訴外会社は、原告の個人事業を税務対策上会社組織にしたものであって、原告、妻及びその妹が取締役に就任しているが、妻の妹は名前だけ、妻は原告が他出中電話番をする位で、訴外会社の業務に従事しているのは原告のみであり、要するに、訴外会社は、原告一人の才覚と労働で成り立っていること、訴外会社は、パッキングの製造を一部下請に出していること、原告の利き手は右手であることを認めることができる。原告の前記傷害の部位・程度及び原告の右訴外会社における業務内容によれば、原告は、前記傷害及びその治療に専念するため、昭和六〇年五月一七日から同年八月末日まで訴外会社の業務に全く従事することができず、その後も右後遺症状が固定するまでの間、右傷害及び通院治療のため、訴外会社の業務にほぼ半分しか従事することができなかったことを認めることができ(る。)《証拠判断略》ところで、《証拠略》によれば、原告は、昭和六〇年分の所得税の確定申告において、給与所得三八六万四〇〇〇円を計上していることを認めることができ、右給与所得を基準にして原告が前記傷害を負わなかった場合における原告の同年度の給与所得を概算すると、七〇〇万円を超えることになるが、原告は、東京三弁護士会交通事故処理委員会編・民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準同年版別表Ⅲの「全年令平均給与および年令別平均給与額表(平均月額)」に基づく男子の「全年令平均給与額」三二万四〇〇〇円によって算出した休業補償を主張し、成立に争いのない甲第八号証によれば、右男子の全年齢平均給与額は三二万四〇〇〇円であることを認めることができるから、それによって原告の右休業中の補償額を算定すると、一八五万円になる。  4 入通院による慰謝料  一一九万円  原告が前記傷害の治療のため入通院した期間及び通院の実日数は前記のとおりであり、右傷害の後遺症状が固定したのが昭和六一年一月一一日であることは後記のとおりであるから、原告の右後遺症状固定日までの入通院による慰謝料は、原告の主張どおり一一九万円とするのが相当である。  5 後遺障害による慰謝料 四五〇万円  《証拠略》によれば、原告は、昭和六一年一月一一日、東京慈恵会医科大学附属病院において、前記傷害による右手機能障害が固定し、回復の見込みがほとんどないと判定され、右手の示指~小指近位指節間関節の屈曲に著しい障害があり、残存の示・中・小指の遠位指節間関節も可動域は極めて小範囲で、右手としての巧緻運動の不能と把持機能に著しい障害を後遺したこと、原告は、埼玉県から、産業災害による身体障害者等級表による級別四級の身体障害者の認定を受けたこと、原告は、川越の労働基準監督署に行って、右障害が労働基準法施行規則別表第二のどれに該当するかを聞いたところ、同表の第八級四に該当するのではないかといわれたこと、しかし、原告の右手の栂指は健全であることを認めることができる。右の事実によれば、原告の右後遺障害による慰謝料額は、四五〇万円とするのが相当である。  6 逸失利益       八七七万円  《証拠略》によれば、原告は、昭和一一年五月八日生れであることを認めることができるから、前記後遺障害固定時から一七年間就労可能であると推認することができる 。そして、前記後遺障害及び原告の職業に徴すると、原告は、右後遺障害により労働能力を約二〇パーセント喪失したというべきである。そうとすると、前記原告の給与月額を基準にしてライプニッツ式により中間利息を控除すると、原告の右後遺障害による逸失利益は、千円以下端数を切り捨てて、八七七万円である  324,200×20/100×11.274=8,772,073  五 《証拠略》によれば、原告は、昭和四七年ころから、プレス機械を使用して合式樹脂板を打ち抜いた製品の営業に従事し、昭和五九年ころからは、自ら手動式のダルマプレスを使用して合成樹脂板を打ち抜く作業をしていて、プレ不機械による人身事故発生の危険性を了知していたこと、原告は、それにもかかわらず、作業能率を上げるため、本件機械の上盤と下盤の間に手を差し入れて打ち抜いた製品を取り出していたこと、本件事故は、原告が右製品を取り出すべく、ストッパーが歯車の軸のミゾに収まったことを確認しないまま漫然と右上盤と下盤の間に手を差し入れたために発生したものであることを認めることができる。したがって、本件事故の発生については、原告にも過失があり、原告の右過失は賠償額の算定に当たって斟酌されるべきである。そして、原告の右過失と被告の前記過失とを対比すると、その割合は、おおよそ原告の四と被告の六とするのが相当であるから、原告の右過失割合を畠酌すると、被告の原告に対する賠償額は、一〇〇〇万円になる。  六 原告が弁護士中根秀夫に対して本訴の提起と追行を委任したことは、《証拠略》から明らかである。本件訴訟の難易度、賠償額等を考慮すると、原告が右訴訟代理人に対して支払うべき報酬のうち被告に負担させるべき分は、一〇〇万円である。  七 以上のとおりであるから、原告の本訴請求のうち、民法七〇九条に基づく請求中・損害賠償金一一〇〇万円及びうち弁護士費用を除く一〇〇〇万円に対する本件不法行為の後である昭和六一年二月二二日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める部分は理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条を、仮執行の宣言について同法一九六条をそれぞれ適用して主文のとおり判決する。          (裁判官 並木 茂) 東京地方裁判所 昭和61年(ワ)第1686号 損害賠償請求事件 昭和62年10月29日