大量の炊いたご飯をほぐす機械では、その機械の大きさや構造、ご飯の熱などにより、さまざまな労災事故が発生することがあります。その具体例や、労災給付、会社への損害賠償請求などについて、解説します。
1 ご飯ほぐし機とは?
ご飯ほぐし機とは、その名のとおり、ご飯をほぐす機械です。
ご飯は、炊きあがった直後は、大きなかたまりになっています。
これをほぐすことで、ご飯をふっくらとさせることができます。
家庭用の炊飯器であれば、人の手によってしゃもじでほぐせば良いのですが、大量のご飯をほぐす必要がある場合には、ご飯ほぐし機という機械が用いられます。
例えば、おにぎりやお弁当、冷凍食品の工場、飲食店や学校給食などでの利用が想定されます。
2 ご飯ほぐし機で発生する事故類型
ご飯ほぐし機で発生する事故類型としては、例えば、以下のものが考えられます。
・機械への巻き込まれ事故
・やけど
・刺傷
・裂傷
3 ご飯ほぐし機で発生する労働災害の現状
上記の具体例のうち、特に巻き込まれ型の事故については、発生する可能性が高い事故と言えます。
炊いた大量のごはんはずっしりと重いため、機械にもパワーがあります。
そのため、大きな事故になると、重体になったり、最悪の場合にはお亡くなりになってしまうこともありえます。
4 ご飯ほぐし機によるケガが起こるケース
ご飯ほぐし機による事故としては、例えば、以下のような事故が考えられます。
・機械に手などが巻き込まれてしまう。
・高温のご飯そのものや蒸気に触れることで、やけどをする。
・ほぐし機の突起部分により、刺し傷や切り傷を負う。
・清掃中に機械の誤操作により、身体が巻き込まれてしまう。
5 労働安全衛生法・民法715条(使用者責任)
労働安全衛生法とは、労働基準法とともに、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする法律です(同法1条)。
会社側に労働安全衛生法違反が認められるような場合には、不法行為に基づく損害賠償を請求することができます。
また、他の従業員の過失により事故に巻き込まれてしまった場合には、その従業員のみならず、会社に対しても使用者責任(民法715条)に基づいて損害賠償を請求することができます。
この請求権は、事故を起こしてしまった従業員に資力が無い(賠償金を支払う経済的な余力が無い)場合に、大変有効です。
6 労災保険で受け取ることができる給付の種類
以下は、労災保険で受け取ることができる給付の一例です。
①療養(補償)給付
労災病院や労災指定病院等を受診・治療する場合には、当該病院に「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」を提出し、請求します。
それ以外の医療機関を利用して受診・治療した場合には、費用を立て替えた上で、労働基準監督署に「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」を提出し、請求します。
例えば、治療費や薬代、器具の費用、施術費用などが給付の対象になります。
②休業(補償)給付
労働基準監督署に「休業(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。
③障害(補償)給付
労働基準監督署に「障害(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します。
④傷病(補償)年金
労働基準監督署が職権で行うため、請求は必要ありません。
⑤介護(補償)給付
労働基準監督署に「介護(補償)給付支給請求書」を提出し、請求します
7 会社への損害賠償請求
例えば、通院慰謝料や後遺障害慰謝料については労災からは支給されないように、労災給付は十分な補償とは言えません。
そのため、労災から給付されない部分については、会社への損害賠償請求を検討することになります。
その際には、「5 労働安全衛生法・民法715条(使用者責任)」の内容などを中心に検討することになります。
8 弁護士に依頼するメリット
労災事故において、特に大きな事故に遭ってしまった場合には、生活が一変します。
一方で、労災給付の額は、非常に大きくなる可能性があります。
また、会社に対しても、多額の損害賠償請求をすることができる可能性もあります。
一方で、逸失利益や過失割合などの点では、会社側と紛争になる可能性もあります。
そのため、早期に専門家による適切な助言を受けることが重要です。
9 当事務所のサポート内容
当事務所では、労働災害を多く取り扱っているチームの弁護士が、直接、ご依頼者様のお話を丁寧にお伺いし、また、ご依頼者様にわかりやすくご説明することを心がけています。
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