紛争の内容
ご依頼者様は、屋外作業の仕事中に高所から落下し、足や腰を負傷されました。
約1年間通院され、後遺障害申請(障害補償給付申請)の結果、12級の後遺障害が認定されました。
そして、会社に安全配慮義務違反が認められる可能性があったため、当事務所が会社への損害賠償請求の交渉事件のご依頼をいただきました。
交渉・調停・訴訟等の経過
会社の安全配慮義務違反としては、指導・研修の不実施、高所作業設備の不設置等があり、それらを安全配慮義務違反として主張し、各種損害の請求を行いました。
会社は、自身の安全配慮義務違反は認めましたが、損害や特に過失割合について反論を行いました。
具体的には、こちらに4割~5割の過失があると主張してきました。
これを受けて、当方は、ご依頼者様が十分に注意をしていたことや同種の事故が過去にも起きていたことなどを主張し、過失割合を少なくする方向で交渉しました。
本事例の結末
交渉の結果、会社は、過失割にについて、3割まで譲歩し、総額で600万円を支払うという提案を行いました。
訴訟になった場合、3割の過失が認められる可能性も考えられたことや600万円という金額は交渉としてはかなり高いものと考えられましたので、600万円で合意をしました。
本事例に学ぶこと
会社に対して労災に基づく損害賠償請求を行う場合、会社は過失割合を主張してくることが多いです。
過失割合によって、労働者が請求できる金額が大きく変動しますので、過失割合の検討は非常に重要です。
労働者としては、会社の指導や研修がなかったこと、自身は十分注意をしたこと、法令やガイドライン等で求められている対策が実施されていなかったこと等を主張することが重要です。
できる限りの主張をすれば、会社も譲歩し、高い水準で合意できる可能性が高まります。
弁護士 権田 健一郎





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