紛争の内容
パート従業員として工場内で働いていた方が、工場内で作業中、近くを通ったバック走行するフォークリフトに足を踏まれ、足指を骨折するなどの傷病を負いました。
労災保険は適用され治療費や休業損害は支払われてきました。
一度は職場に復職しましたが、足の怪我をしたこともあり、事故前のように思うような仕事ができず、仕事を変えることとし、その際に「労災 補償」などとインターネット検索していたところ、当事務所のHPで損害賠償請求することができるかもしれないと知り、ご相談にお越しになりました。
治療は継続しておりましたが、幸いにも指の骨折について可動域の制限などは残りませんでしたが、痛みが残置してしまったことから、障害補償給付の申請を行い、その後に会社に対する損害賠償請求をするという流れでご依頼をいただきました。
交渉・調停・訴訟等の経過
まずは、後遺障害診断書や申請書類を準備し(申請書類については会社の証明を受け)、管轄の労基署に障害補償給付の申請を行いました。しばらくすると、労災顧問医と依頼者との面談があり、面談において痛みの症状を具体的に説明してただきました。その結果、神経症状を理由とする後遺障害14級9号が認定されました。
その後、労災から個人情報を取り寄せた上、依頼者の損害額を積算しました。
慰謝料などは、一切、労災保険から支払われませんので、会社に対して請求する必要がありました。
厳密には、会社及び加害者(フォークリフトの運転者)に対する請求を想定しました。
損害額としては、休業損害(未受領分)のほか、通院交通費、通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益(将来得られなくなった収入)などを請求することとしました。なお、パート従業員であった一方、家庭では主婦業を営み、家族のために家事をしていましたので、パートの年収と女性の平均賃金とを比較し、高い方である平均賃金をベースに日額を割り出し、休業損害、逸失利益を計算しました。
会社は代理人弁護士を立て、弁護士同士の交渉を粘り強く進めました。
本事例の結末
損害項目の争いや過失相殺の争いがありましたが、一つずつ証拠を提示して議論を丁寧に進めることができ、その結果、当初は50%の過失といっていたものが10%まで譲歩させることができ、損害費目についてもおおむねこちらの計算どおりの内容で示談することができました。
その結果、損害賠償金として450万円を獲得することができました。
本事例に学ぶこと
パートやアルバイトでも労災請求や損害賠償請求できますか?と悩まれる人もいらっしゃいますが、もちろん可能です。
また、会社に安全配慮義務違反がある場合や、会社の従業員の過失による事故などの会社の使用者責任がある場合には、損害賠償請求することが可能です。
損害賠償請求は適正な補償です。
権利を行使することがなければ、そのようなお金は支払われず、泣き寝入りすることにもなりかねません。
労災に遭い、当ページにたどり着いた方は、迷わず、弊所にご連絡・ご相談ください。
お役に立てることがあろうかと思います。
弁護士 時田 剛志
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