紛争の内容
依頼者は、会社の工場内で勤務していたところ、同僚の過失により怪我を負わされました。
依頼者は、労働災害として労災保険を受給し、14級の後遺障害認定を受けましたが、通院慰謝料や休業損害、逸失利益などの損害賠償が充分にはなされていないとして、会社に対し、使用者責任を根拠に、損害賠償請求訴訟を提起しました。
交渉の経緯
当初は、会社側と任意の交渉を進めておりましたが、不法行為の消滅時効である3年が近づいてきていたため、やむなく訴訟を提起しました。訴訟では、約1年をかけて双方が主張立証を尽くしました。
本事例の結末
訴訟の終盤では、裁判官からの和解案が双方に示されました。
その内容は、依頼者の納得できる内容(金額)であったため、裁判上の和解という形で終結し、会社側とも円満に解決することが出来ました。
本事案に学ぶこと
労働災害が発生した場合に、受けた損害を回復するための手段としては、まずは労災保険の受給が挙げられます。
そして、症状が固定した場合には、労災保険の後遺障害認定をもとに、決められた慰謝料を受け取ることができますが、後遺障害認定に不服がある場合には、審査請求を行うことがあります。
しかし、これらの手続は、審査に時間が掛かることや、結果が覆る可能性は一般的には低いという難点があります。
また、労災保険の給付は、裁判において加害者から得られる損害賠償額よりも低額になっております。
次に、受けた損害を回復するための次なる手段としては、加害者に対する損害賠償請求が挙げられます。
もっとも、加害者個人は支払い能力に乏しいことも多く、裁判を起こして勝訴したとしても、お金を払ってもらえるかは分かりません。
そこで、加害者本人ではなく、加害者を雇用している会社に対して請求をするということが考えられます。
会社としては、労働時間内において、労働者の安全を確保することについて、使用者としての法的責任を負っております。
会社は、個人と比べて損害賠償するだけの資金を有することが多く、また場合によっては任意保険を利用できるので、回収可能性が格段に高まります。
本件では、会社に対する請求を徹底し、訴訟において、医学的証拠をもとに主張・立証をした結果、依頼者の言い分をもとに和解案が定まりました。
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